【2026年】システム開発RFP(提案依頼書)の書き方・作り方|記載項目・目次サンプル・流れ
2026.06.08
システム開発を複数社に見積もり依頼したのに、各社からバラバラの提案が返ってきて比較できない——その原因の多くは、RFP(提案依頼書)がないことにあります。結論から言うと、RFPは各社を「同じ土俵」に乗せるための文書で、これがあるかどうかで提案の質も比較のしやすさも大きく変わります。本記事では、RFPに何を書くか(記載項目)、どう作るか(手順)、評価基準の決め方、配布後の進め方までを、そのまま社内で使える形で解説します。なお、RFPは発注プロセス全体の一部です。全体の流れはシステム開発の発注完全ガイドで解説しています。
RFP(提案依頼書)とは?#
RFP(Request for Proposal=提案依頼書)とは、発注側が「実現したいこと・前提・条件」を整理し、開発会社へ提案と見積もりを依頼する文書です。よく似た言葉のRFI(情報提供依頼書)は各社の情報収集が目的なのに対し、RFPは具体的な提案・見積もりを求める点が異なります。要件をすべて確定させる必要はありませんが、「何を解決したいか」「何を重視するか」が相手に伝わる粒度で書くことが大切です。
なぜRFPが必要なのか?#
RFPがないと、会社ごとに前提の置き方が変わり、提案・見積もりを横並びで比較できません。システム開発のトラブルは要件のあいまいさに起因することが多く、発注の入り口で認識をそろえておくほど、後工程の手戻りは小さくなります。RFPは、その認識合わせを行うための手段でもあります。結果として、提案の質が上がり、各社が要件をどれだけ理解しているかも見抜けるようになります。
RFI・RFP・提案・選定の流れ#
RFPは、会社選びの一連の流れのなかで使います。一般的には、(1) RFI(情報提供依頼)で各社の実績・対応可否などの情報を集め、(2) 候補を絞ってRFP(提案依頼)を出し、(3) 各社から提案・見積もりを受け取り、(4) 評価基準で比較して選定する、という順です。RFIを省いて最初からRFPを出すこともありますが、候補が多い・初めての領域なら、RFIで絞ってからRFPを出すと、依頼と比較の負担を抑えられます。RFPは「提案を依頼する」段階の文書、と位置づけると分かりやすくなります。
RFPに盛り込む項目は?#
RFPに最低限入れたいのは、次の項目です。
- 背景・目的:なぜ作るのか、解決したい課題は何か
- 実現したい業務・機能:やりたいことと、その優先度(Must/Want)
- 前提:既存システム・データ・社内の制約
- 予算感とスケジュール:おおよその予算と、いつまでに使いたいか
- 評価の観点:何を重視して選ぶか(価格・実績・体制など)
これらが揃うと、各社は同じ条件で提案でき、発注側も比較しやすくなります。予算感は「出せない」と伏せるより、幅で示したほうが提案がぶれません。費用の決まり方と内訳の見方はシステム開発費用の相場で解説しています。
RFPの作り方(手順)#
RFPは、いきなり書き始めるより、次の順で作ると迷いません。
- 1課題整理:現状の困りごとと、解決したい状態を洗い出す
- 2要件の洗い出し:業務・機能・非機能の観点で「やりたいこと」を集める
- 3項目を文書化:上の記載項目に沿って文章・表にまとめる
- 4社内合意:関係部署と目的・優先度・予算をすり合わせる
- 5各社へ配布:同じRFPを2〜3社へ渡し、同条件で提案を依頼する
評価基準(評価軸)の決め方#
RFPには「何を重視して選ぶか」の評価基準を入れます。価格だけでなく、実績・専門性、要件の理解度、体制・コミュニケーション、保守体制などを観点に置き、自社にとって重要なものに重みをつけます。大切なのは、評価基準を提案を受け取る前に決めておくことです。後から基準を作ると、提案の見栄えや価格に引っ張られ、判断がぶれます。基準を社内で共有しておくと、複数人で評価するときも判断がそろい、選定の納得感が高まります。
評価基準の配点シート(そのまま使える)#
評価軸に重みをつけ、各社を同じ配点で採点すると、価格だけに引っ張られずに比較できます。下表をコピーして重みと点数を記入してお使いください。
| 評価軸 | 重み | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|
| 実績・専門性 | ||||
| 要件の理解度 | ||||
| 体制・コミュニケーション | ||||
| 費用の妥当性(内訳) | ||||
| 保守体制 |
RFPを書くときのコツと、よくある失敗#
精度の高いRFPにするコツは、次の4つです。
- 要件を全部「Must」にしない:優先度をつけ、予算と段階リリースの判断余地を残す
- 手段を指定しすぎない:目的・課題を伝え、解決策は各社の提案に幅を持たせる
- 評価軸を先に決める:提案を受け取る前に「何で選ぶか」を固めておく
- 前提を省かない:既存システム・データ・連携先など、見積もりに影響する条件を明記する
よくある失敗は、要望を盛り込みすぎて優先度が分からなくなる、逆に抽象的すぎて各社が前提を想像で埋める、というものです。どちらも比較を難しくします。
RFPのテンプレート・目次サンプル(コピーして使える)#
迷ったら、次の構成をベースにすると過不足が出にくくなります。まず目次、そのあとに各社へ送る文面の雛形を置きました。
- 1背景・目的
- 2現状と課題
- 3実現したいこと(業務要件・機能要件と優先度)
- 4非機能要件(性能・セキュリティ・可用性など)
- 5前提・制約(既存システム、データ、社内ルール)
- 6予算・スケジュール
- 7提案依頼事項・評価基準
- 8提出方法・締切・問い合わせ窓口
そのまま貼り付けられるRFP雛形#
上の目次に沿って、各社へ送る文面の形にしたものです。〔 〕を自社の内容に置き換えれば、そのまま使えます。
件名:〔システム名〕開発に関する提案のご依頼
〔貴社名〕御中
平素より大変お世話になっております。〔自社名〕の〔部署名・氏名〕です。このたび〔システム名〕の開発にあたり、貴社にご提案をお願いしたく、本書をお送りいたします。
1. 背景・目的
現在、〔業務名〕を〔現状の手段(例:Excelと紙)〕で運用しており、〔課題(例:拠点間で在庫数が合わず、月次の棚卸に2日かかっている)〕という課題があります。本件では〔達成したい状態(例:在庫数を全拠点でリアルタイムに共有し、棚卸を半日で終える)〕を目的とします。
2. 現状と課題
- 利用部署/人数:〔 〕
- 現行システム:〔製品名・導入年・利用範囲〕
- 主な課題:〔3点程度を箇条書きで〕
3. 実現したいこと(優先度つき)
- Must(必須):〔 〕
- Want(できれば):〔 〕
実現手段は指定しません。目的を満たす方法をご提案ください。
4. 非機能要件
- 想定同時利用者数:〔 〕/データ量:〔 〕
- 稼働時間・可用性:〔 〕
- セキュリティ要件:〔 〕
5. 前提・制約
- 連携が必要な既存システム:〔 〕
- 移行が必要なデータ:〔 〕
- 社内ルール上の制約:〔 〕
6. 予算・スケジュール
- 予算感:〔 〕
- 稼働希望時期:〔YYYY年M月〕
7. ご提案いただきたい事項
- 提案内容(実現方針・構成・開発手法)
- 概算見積(設計/開発/テスト/移行/保守の内訳)
- 体制(担当者の役割・人数)とコミュニケーション方法
- 想定スケジュール
- 保守・運用の範囲と費用
8. 評価基準
実績・専門性/要件の理解度/体制・コミュニケーション/費用の妥当性/保守体制の5点で評価します。
9. 提出方法・締切・窓口
- 提出期限:〔YYYY年M月D日〕
- 提出先:〔メールアドレス〕
- ご質問期限:〔YYYY年M月D日〕(いただいた質問と回答は、ご提案いただく各社へ共有いたします)
RFP配布後の進め方(提案・質疑・比較)#
RFPを配ったら、各社からの質疑に対応します。同じ質問と回答はすべての会社に共有すると、条件がそろい公平になります。提案・見積もりを受け取ったら、価格の総額ではなく、要件の理解度・内訳・前提を見て比較します。必要なら提案内容のプレゼンテーションを受け、体制やコミュニケーションのしやすさも確認します。最終的には、先に決めた評価基準に沿って総合的に判断します。比較の5つの軸は失敗しないシステム開発会社の選び方で詳しく解説しています。
技術的な妥当性を社内だけで判断しきれない場合は、外部の技術責任者に評価へ加わってもらう選択肢もあります。契約形態別の費用の目安はスポットCTOの費用・料金相場で整理しています。
弊社(株式会社TryWith)のRFP・発注支援について#
弊社では、システムの受託開発に加えて、RFP作成や要件整理など、発注の前段からのご支援を行っています。「何を書けばいいか分からない」「自社の要望を整理しきれない」という段階からでも、現状の課題整理を一緒に行い、各社へ依頼できるRFPの形に落とし込みます。発注の進め方からご相談いただけます。
よくある質問(FAQ)#
Q. RFPとRFIの違いは何ですか?
A. RFIは各社の情報収集(実績・対応可否など)を目的とした依頼で、RFPは具体的な提案・見積もりを求める依頼です。情報を集めてからRFPを出す、という順で使うこともあります。
Q. RFPのテンプレートはありますか?
A. 本記事の「RFPのテンプレート・目次サンプル」に、目次と、そのまま貼り付けられる雛形を載せています。〔 〕を自社の内容に置き換えれば、各社へ送る文面として使えます。
Q. 要件が固まっていなくてもRFPは作れますか?
A. 作れます。すべてを確定させる必要はなく、「解決したい課題」と「優先度」が伝われば十分です。要件定義そのものを提案に含めてもらう前提で出すこともできます。要件の固め方は要件定義の進め方をご覧ください。
Q. 評価基準はどう決めますか?
A. 価格だけでなく、実績・要件の理解度・体制・保守などを観点に置き、重要なものに重みをつけます。提案を受け取る前に決め、社内で共有しておくと判断がぶれません。本記事の配点シートをお使いください。
Q. RFPは何社に配ればいいですか?
A. 一般には2〜3社程度が現実的です。同じRFPで依頼し、提案の内訳と要件の理解度で比較します。
Q. RFPの作成を手伝ってもらえますか?
A. はい。弊社では要件整理からRFP作成まで支援しています。開発を担う立場から、比較しやすい形に整えます。
まとめ#
RFPは、各社を同じ条件で比較し、提案の質を引き上げるための土台です。背景・目的、業務・機能、前提、予算・スケジュール、評価軸をまとめ、評価基準を先に決めて、2〜3社へ同条件で依頼しましょう。本記事の目次例・雛形・配点シートを、そのままお使いください。RFPの前段にある要件の固め方は要件定義の進め方、発注全体の流れはシステム開発の発注完全ガイド、会社の比較は失敗しないシステム開発会社の選び方で解説しています。
(参考:情報システム・モデル取引・契約書(第二版)|IPA)
RFP作成でお困りの場合は、現状の課題整理からご相談いただけます。まずはお問い合わせはこちらからお気軽にご相談ください。
タグ
